こんにちは、データレンズテクノロジーです。
前回のブログで、レンタルオフィスの顧客満足度向上において「音」が重要な要素であることをお伝えしました。まだご覧になっていない方は、ぜひこちらからご確認ください。
さて、レンタルオフィスという場所柄、やはり他の方が出す音に敏感になるのは当然ですよね。レンタルオフィス運営者の皆様も、顧客満足度向上のために「音」が重要だと認識され、さまざまな対策を講じていらっしゃいます。現在多くのレンタルオフィスでは、「フリースペース」「集中スペース」「ディスカッションスペース」のように、利用目的や行動形態に基づいたゾーニングがされています。
なぜ対策が取られているのに、音への不満は多いのか?
私たちは、人は期待とズレたときに不満を感じると考えています。
利用目的や行動形態に基づいたゾーニングでは、ある程度の音が出ることは予測できますが、具体的な音量までは予測できません。これが、不満の原因ではないでしょうか。
そこで今回、私たちは「音を発する側」と「音を発しない側」で、レビュー評価に差があるのかを検証してみることにしました。
具体的には、レンタルオフィスの利用目的を以下のように定義しました。
- 音を発するユーザー: 「会議・打ち合わせ・テレワーク・面談」で利用する方々
- 音を発しないユーザー: 上記以外の目的で利用する方々
それぞれのユーザーが何を重視しているのかを明らかにするため、私たちは自然言語処理と機械学習を用いたユーザーレビュー分析を実施しました。
その結果がこちらです。

このグラフが示すように、両者に共通するキーワードは、特にレビューで言及される頻度が高かった清潔感、音、スタッフの接遇、そして設備に関連した単語であることがわかります。これは、利用目的によらず、基本的なサービス品質への期待が高いことを示唆しています。
一方で、明確な相違点として挙げられるのが音を発しないユーザーにだけある「静か」というキーワードです。この「静か」という単語は、音を発しないユーザーのレビューにおいて、ポジティブな文脈で頻繁に出現しており、彼らが集中できる環境を強く求めていることが読み取れます。
ユーザー一人ひとりの「音への感度」に合わせた空間を提供
この結果から見えてくるのは、以下のことです。
- 音を発しないユーザーは、「静けさ」を強く求めています。 そのため、他人の声は「不快なノイズ」として敏感に感じ取ってしまいます。彼らにとって音は、集中を妨げる邪魔な存在であり、心理的なストレス源にもなりかねません。
- 一方、音を発するユーザーからは「静か」という言葉が出てきません。 彼らは音を「交流の手段」や「自己表現」の一部と捉えているのかもしれません。他人の声を気にするのは、それが自分たちの会話に影響する可能性や、周囲との関係性に意識が向いているためです。彼らにとって音は、邪魔なノイズというよりは、常に周囲に存在し、自分の行動と関連づけて考えるべき対象なのです。
この分析結果は、レンタルオフィスの顧客満足度向上に向けた新たな示唆を与えてくれるのではないでしょうか。ユーザー一人ひとりの「音への感度」に合わせた空間を提供すること。それが、これからのレンタルオフィスに求められるのかもしれません。
提案:「音への感度」を軸にした空間コンセプトの再構築
今回の提案は、「音への感度」という新たな視点を取り入れることで、レンタルオフィスが提供できる価値を最大化するものです。このゾーニングは、単なる空間の仕切りを超え、ユーザー一人ひとりが最も生産的に、そして快適に過ごせる環境を提供することに繋がります。
従来の「〜するな」という制約を設けるルールベースではなく、「〜できる」という選択肢を提供することで、ユーザーは自身のニーズに合わせて最適な環境を選ぶことが可能になります。
例えば、入口に「静かに集中したい方向け(目安:図書館レベル)」や「会話OK(目安:カフェレベル)」といった表示を設けるだけでも、ユーザーの期待値コントロールに繋がり、満足度向上に貢献するはずです。
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このレンタルオフィスレビュー分析は、私たちの「データ分析からの戦略策定」サービスの一端です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
謝辞
最後に、今回のブログで「音への感度」というテーマを考えるきっかけをくださった、いつも利用しているレンタルオフィスのスタッフさんに心より感謝いたします。