こんにちは!データレンズテクノロジーです。
前回のブログでは、自然言語処理を活用して顧客が企業をどう見ているか、そしてどんな点を重視しているかを深く分析することの重要性をお伝えしました。特に、レンタルオフィスの事例を用いて、運営体制が顧客体験にどう影響するかについて、ユーザーレビューから見えてくる「スタッフの有無がもたらす顧客行動の違い」を詳細に考察しました。顧客の「本音」を知ることが、どれほどビジネスに役立つか、ご理解いただけたかと思います。
さて、今回はその続きです。
前回のブログで明らかになった、顧客が体験を通じて感じている価値が、企業のマーケティング戦略において、自社のアピールポイントとしてしっかりと活かされているのか?つまり、顧客が体験を通じて価値を感じている点と、企業が意図的に訴求している点が一致しているのか、それとも異なる訴求軸があるのかを深掘りしていきます。このギャップを比較することで、より効果的なマーケティング戦略を立案するためのヒントを多角的に考察できるでしょう。
企業が「本当に伝えたいこと」が詰まったPR記事
今回の企業側の情報としては、新店舗のオープンを告知するPR記事を選びました。なぜなら、このようなPR記事には、企業が「今、最もアピールしたいポイント」や「戦略的に顧客に伝えたい情報」が凝縮されている可能性が高いからです。
では早速、このPR記事と前回のユーザーレビューを、自然言語処理とAIを使って比較分析してみましょう。
そして、その分析結果が示す驚きの事実を、グラフとともに見ていきましょう。
顧客の視点と企業の視点の「ギャップ」を可視化
以下のグラフは、レンタルオフィスAとBが各評価項目に対して、ユーザーレビューでの言及度の高さとPR記事での言及度の高さを比較したものです。グラフが0より上にある項目はPR記事での言及度がユーザーレビューよりも高く、0より下にある項目はPR記事よりもユーザーレビューでの言及度の方が高いことを示しています。

このグラフから、いくつかの重要な示唆が得られます。
1. 企業が強く訴求するポイントと顧客の評価のギャップ
グラフが0よりも大きく上に振れている項目は、企業PRで積極的にアピールされているものの、ユーザーレビューではあまり言及がない点を示しています。
今回のグラフでは「環境」「設備」「料金」「立地」といった項目がプラスに振れているのは、新店舗のPRとしてアピールされる点であるため、企業が強く訴求するポイントとして当然です。しかし、もしこれらの項目で大きくプラスに振れている場合は、企業が提供したい価値と顧客が本当に求めている価値の間に、わずかながらギャップがある可能性も考えられます。この「ギャップ」に気づくことが、マーケティング戦略やサービス改善の重要な手がかりになるでしょう。
2. アピール不足点の発見:「隠れた強み」を見逃していませんか?
一方で、グラフが0よりも下に大きく振れている項目は、ユーザーレビューでの言及度が高いにもかかわらず、PR記事での言及度が相対的に低い点を示しています。これこそが、企業が気づいていない、あるいは重要視していない「隠れた強み」であり、「アピール不足点」と言えるでしょう。
今回のグラフでは、「入退室」と「スタッフ」がこの傾向に当たります。前回のブログで明らかになったように、レンタルオフィスAの「入退室のしやすさ」や、レンタルオフィスBの「スタッフの対応」は、ユーザーレビューで非常に評価が高かったポイントなのです。これらは、顧客が強く価値を感じているにもかかわらず、PR記事では企業側からは十分にアピールされていない「もったいない強み」と言えます。
これらの「隠れた強み」は、今後のPR戦略において大きな武器となり得るでしょう。PR戦略を見直すことで、大きな成果に繋がる可能性を秘めています。
データに基づいた「顧客中心」のマーケティングへ
今回の分析で、顧客の「本音」と企業の「訴求」の間に存在するギャップが明確に可視化されました。この結果は、データに基づいた顧客中心のマーケティング戦略がいかに重要であるかを強く示唆しています。
特に、以下の点でビジネスへの貢献が期待できます。
- 現状把握の客観性: 感情や主観に頼ることなく、データに基づいて顧客とのギャップを客観的に把握できます。これは、効果的なマーケティング戦略を立案する上で非常に重要な出発点となるでしょう。
- 改善の方向性の示唆: データが示すギャップは、企業のアピールが顧客に届いていない「見直しが必要な点」や、まだ気づいていない「隠れた強み」を具体的に示してくれます。これにより、今後のマーケティング戦略やサービス改善の方向性を明確化できます。
- 議論の共通言語: 感覚的な議論に陥りがちなマーケティングにおいて、このデータは社内での共通認識を醸成し、より建設的かつ具体的な改善策の検討を促進します。
- PDCAサイクルの促進: 今回の分析結果を基に施策を実行し、その後の顧客の声やPR記事の変化を再度分析することで、施策の効果を客観的に検証し、継続的な改善(PDCAサイクル)に繋げることが可能です。
顧客の「リアルな声」分析ならデータレンズテクノロジーへ
このユーザーレビュー分析は、私たちの「データ分析からの戦略策定」「データ活用内製化支援」サービスの一端です。
顧客の「リアルな声」をデータとして活用し、ビジネス課題を解決したいとお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
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