こんにちは、データレンズテクノロジーです。
本日も、自然言語処理が顧客の「本音」をどのように炙り出すかについてお話しします。
前回のブログでは、レンタルオフィス利用における顧客の「移動しにくさ」に焦点を当て、特に「予約」「駅」「入口」「入室」「退室」という動線フェーズの中で、「入口」での不満が際立っていることを明らかにしました。さらに興味深いのは、「入口」から「入室」、そして「退室」へと進むにつれて不満が解消され、全体的な満足度が向上している点でした。
この分析結果から、私たちはある仮説を立てました。それは、「入口は顧客にとって、想像以上に大きな『緊張感』を伴う場所なのではないか」というものでした。
一体、入口で何が起きているのでしょうか?今回は、この謎を深掘りし、顧客が入口で抱える「見えない心理的ハードル」の正体に迫ります。
入口が果たす重要な役割とは?
レンタルオフィスの「入口」は、単なる出入口ではありません。そこには、お客様の体験を左右する重要な3つの役割があります。
- 企業の顔としての第一印象: オフィスに足を踏み入れる最初の場所であり、その空間が企業のブランドイメージを形作ります。
- セキュリティと安全性の確保: 入退室管理システムや監視カメラなどが設置され、利用者の安心・安全を守る重要な機能です。
- 利便性とアクセシビリティの提供: 顧客がストレスなくオフィスへスムーズにアクセスできるよう、動線を確保する役割です。
顧客不満の真の原因は「案内」だった:データが示す驚きの事実
では、具体的に「入口」で何が顧客の不満を増幅させているのでしょうか?
私たちは、顧客が入退室管理などの「入室行為そのもの」に不満を感じているのか、それともスムーズなアクセスを阻む「利便性や案内」に不満を感じているのかを深掘りするため、ユーザーレビューを自然言語処理を用いて分析しました。
今回の分析対象であるレンタルオフィスでは、顧客はスマートフォンのアプリなどで発行された二次元コードを、入口に設置されたリーダーにかざすことで入室するシステムを採用しています。これにより、鍵の受け渡しなどの手間を省き、スムーズな入室を意図していました。
分析の結果、驚くべき事実が判明しました。こちらのグラフを見てください。

こちらのグラフは、「入室」「案内」という2つの入口の機能における顧客の感情表現スコアをポジティブ、ニュートラル、ネガティブの3つのカテゴリに分類した割合を示しています。
入室という行為自体の不満(例:「入室が大変だった」)を示すネガティブな言及は全体の19%に過ぎなかった上に、「二次元コード」に関しては不満を述べた意見はありませんでした。しかし、「案内」に関するネガティブな言及は全体の60%にも上っていました。
入口で顧客が抱える「見えない心理的ハードル」
レンタルオフィスの入口に立つ顧客は、想像以上に複雑な心理状態にあります。
- 「初めての場所への不安」: 見慣れない環境では「ちゃんと辿り着けるか」「間違っていないか」という緊張が先行します。
- 「セキュリティシステムへの戸惑い」: 普段使い慣れない認証システムを前に、「うまく操作できるか」というプレッシャーを感じやすいものです。
- 「周囲の視線への意識」: 不慣れな状況で周囲に人がいると、「見られている」と感じて焦りや緊張感が増幅されます。
このような心理状態では、人は「早く済ませなければ」という強迫観念に囚われやすくなります。皮肉なことに、レンタルオフィス運営者が顧客を迷わせないためにと設置された多くの情報や文字が、かえって彼らを混乱させ、情報が頭に入ってこなくなる原因になることがあります。
顧客の心理を前提とした案内が必要
顧客が緊張感や強迫観念を抱えているという前提に立ち、案内表示をデザインすることが極めて重要です。具体的には、以下のようなアプローチが有効です。
- シンプルで視覚的な案内: 文字情報に頼りすぎず、アイコンや直感的なサインを多用する。
- 大きな表示面積: 遠くからでも分かりやすいよう、案内表示の面積を大きくする。
これにより、顧客は「早く」「正確に」情報を認識し、心理的な負担を軽減しながらスムーズに入室できるでしょう。
この分析結果は、レンタルオフィスだけでなく、小売店舗、ウェブサイトのログイン画面、イベント会場の受付など、様々な『顧客が初めて体験する入口』にも当てはまります。
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