データが解き明かす顧客心理:自然言語処理で実現する「心に響く」マーケティング戦略

テーマパーク

こんにちは、データレンズテクノロジーです。

企業成長の鍵は、顧客の心を捉えるマーケティング戦略にあります。特にテーマパークのようなサービス業では、来場者数や売上といった数値目標に加え、顧客がそこで得る「体験」こそがサービスの真価を測る最重要指標となります。

では、どのようにすれば顧客が抱く「体験」や「イメージ」を把握し、効果的に訴求できるのでしょうか?そのヒントは自然言語処理にあります。

今回のブログでは、顧客体験の重要性と、それを深掘りする自然言語処理の持つ力について、人気テーマパーク「パークA」のユーザーレビューを題材に解説します。

前回のブログでは、人気テーマパーク「パークA」の顧客属性について取り上げました。よろしければそちらもご確認ください。

顧客の「感情」を読み解く:形容詞が示す心理的価値

さて、一般的に、製品やサービスが持つ価値は、「機能的価値」「経済的価値」「心理的価値」の3つに分類されます。

テーマパークのようなサービスにおいては、顧客の心に響く「心理的価値」、つまり感情や感覚に訴えかける「体験」の質が極めて重要です。顧客の声を単なるデータとしてではなく、感情や意図が込められた「言葉」として深く分析することで、彼らが何を体験し、何を感じているのかを鮮明に描き出せます。特に、感情やイメージを強く伝える形容詞に注目することは、機能やスペックでは測れない顧客の心理的価値を把握し、サービスの本質的な魅力を浮き彫りにするための有効な手段です。

顧客が語るパークAの体験:形容詞が描く独自性

前回のブログで、私たちは、パークAが「性別、特に女性を意識した体験提供やプロモーションを行っている」ことから『可愛い』と『癒し』という心理的価値を軸にしているという仮説を立てました。この仮説は、顧客の「体験」の言葉から裏付けられるのでしょうか?

この問いに答えるため、自然言語処理とAIを駆使し、パークAとパークBのユーザーレビューに使われている「形容詞」に注目しました。

ここで、パークAのユーザーレビューで使われている形容詞の上位10語と、それらの言葉がパークBのユーザーレビューでどの程度使われているかを比較したグラフをご覧ください。

このデータが示すのは、パークAの顧客体験が持つ明確な特徴です。

特に注目すべきは、「可愛い」という形容詞がパークAのレビューで圧倒的に高い頻度(28%)で使われている点です。これは、パークAが提供する世界観やキャラクターが、顧客にとって非常に魅力的であり、「可愛い」という感情的な体験を強く提供できていることの明確な証拠と言えるでしょう。「可愛らしい」(2%)も合わせると、形容詞全体の約30%がこの「可愛い」を軸とした体験が顧客に深く浸透していることを示しています。これは、視覚的な魅力やキャラクターの魅力が、顧客の心を掴む大きな要因となっていることを裏付けています。

また、「懐かしい」(3%)という言葉がパークAのレビューで一定数使われているのは非常に興味深い点です。パークBではほとんど見られないこの形容詞は、パークAが単なる新しい楽しさだけでなく、訪れる人々に心温まる過去の記憶や郷愁を感じさせるような、独特の体験を提供していることを示唆しています。これは、世代を超えて愛される普遍的な魅力、あるいは特定の世代の心に響くテーマや演出がある可能性を示唆しており、顧客の感情に深く訴えかける「体験価値」を形成していると言えるでしょう。この「懐かしさ」は、リピーターの獲得や、世代間の共感を促進する上で重要な要素となっていると考えられます。

顧客の「体験」が語る、マーケティング戦略の真価

今回の分析で明らかになったのは、テーマパークのようなサービス業において、顧客の「リアルな声」、つまり彼らが体験を通じて使う「言葉」が、そのブランドイメージや提供価値を明確に物語るということです。

特に、今回のように「形容詞」に焦点を当てることで、顧客が抱く抽象的な感情や感覚、つまり「心理的価値」を具体的に可視化できました。これは、単なるキーワードの頻度分析では見えにくい、体験の本質的な魅力や顧客の深層心理を捉える上で、自然言語処理が持つ高度な分析能力が極めて有効であることの証です。

次回予告:企業発信と顧客体験の「一致度」を検証

企業がどのようなメッセージを発信しているか、そして顧客がそれをどう受け止めているかを知ることは、マーケティング戦略の成否を測る上で不可欠です。もし、企業が意図した「体験」が顧客の言葉と一致していれば成功。ギャップがあれば、見直しの貴重な機会です。

次回は、今回の顧客レビュー分析で得られた「顧客が認識する価値」が、パークAのPR記事でどのように表現されているかを分析します。自然言語処理が、この「一致度」をどう解き明かすのか、ご期待ください。

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