貴社のブランドは正しく伝わってますか?分散表現で解き明かす顧客インサイト

テーマパーク

こんにちは、データレンズテクノロジーです。

貴社のブランドイメージ、顧客に本当に伝わっていますか?
もし、貴社が伝えたいブランドの魅力と、顧客が実際に感じている印象の間に「見えないギャップ」があったとしたら、それは潜在顧客の獲得機会の損失、ロイヤル顧客育成の停滞、さらには新しい市場開拓の機会喪失を意味します。

このギャップに気づかずにマーケティングを進めることは、ビジネスの成長を阻む大きな障壁となりかねません。そのギャップこそが、マーケティングの成否を分ける鍵となるのです。

私たちは、この重要なギャップを明確にし、貴社のマーケティング戦略を次のレベルへと引き上げるお手伝いをいたします。

前回の振り返り:パークAの心理的価値分析

前回のブログでは、人気テーマパーク「パークA」のユーザーレビューを自然言語処理とAIで分析し、顧客がパークAに対して抱く「心理的価値」を深掘りしました。ユーザーレビュー中の形容詞に注目した結果、「可愛い」という言葉が圧倒的に多く使われ、パークAが顧客に感情的な体験を強く提供できていることが明らかになりました。顧客が「パークA」に抱くコアのイメージを炙り出すことに成功しました。

今回は、顧客が受け取っているパークAのブランドイメージと、パークAが顧客に送っているブランドイメージを比較してみましょう。

分散表現が明らかにする「イメージマップ」

この比較分析を行うにあたり、私たちは自然言語処理の分散表現(Word Embedding)を活用します。
分散表現は、例えるなら、単語一つ一つに「意味の住所」を与える技術です。似た意味を持つ単語同士は、この「住所」が近くなるように計算されます。

これにより、「楽しい」と「面白い」のように直接的な同義語でなくても、意味的に近い単語群は近くに配置されます。この特性を活かし、顧客が抱くブランドイメージを構成する多様な言葉や概念が、お互いにどう関係し、どこに集まっているのかを把握できます。

PR記事とユーザーレビューの形容詞の分散表現の分布

今回も形容詞に注目し、PR記事とユーザーレビューの形容詞の分布を比較できるようにグラフを作成しました。

上記のグラフは、PR記事とユーザーレビューに含まれる形容詞の分散表現をグラフにプロットしたものです。これにより、PR記事とユーザーレビューに含まれる形容詞が、それぞれどのような意味的なグループを形成し、両者の意味空間にどのような共通点や相違点があるかを視覚的に把握できます。

重なっている部分(Overlap)の分析

グラフの中で「重なっている部分(Overlap)」は、PR記事とユーザーレビュー、それぞれの形容詞を表す点が互いに近くに分布している領域を示します。これは、企業が発信しているメッセージ(使っている形容詞)と、ユーザーが実際にレビューなどで使っている言葉(形容詞)の間で、意味の認識が一致していることを意味します。

具体的には、「可愛い」や「可愛らしい」、「小さい」といった言葉に加え、「たまらない」、「懐かしい」といった形容詞が近くに分布していることがわかりました。これは、パークAが伝えたいメッセージが、顧客側にもそのニュアンスを含めてきちんと受け取れていることを示唆しています。

重なっていない部分(Non-Overlap / Gap)の分析

これが、企業と顧客の間でイメージが「伝わっていない」、あるいは「伝わり方が異なる」部分であり、マーケティング戦略上の改善点や新たな機会を示唆します。

  1. 企業側だけに点がある場合(PRにしかない表現): 企業が伝えたいと思って特定の形容詞を使っているのに、ユーザーレビューにはその言葉や関連する意味合いの言葉がほとんど見られない場合です。 今回の分析では、グラフの中心に固まって存在する「おぞましい」、「怖い」、「ほろ苦い」、「苦しい」といったネガティブなイメージを持つ形容詞がPR記事にのみ分布していることが確認されました。パークAのイメージとかけ離れた表現であるため、実際の記事を調べてみたところ、これらは一時的なイベントや特定のプロモーションに関するものであることが分かりました。このような一時的な情報発信が全体のブランドイメージに与える影響を避けるためには、定期的なイメージ調査と情報発信の調整が必要になるかもしれません。
  2. ユーザーレビュー側だけに点がある場合(ユーザーレビューにしかない表現): ユーザーが特定の形容詞を頻繁に使って評価しているのに、企業側はその形容詞をあまり使っていない場合です。 調べてみるとユーザーレビューにのみ「うまい」、「まずい」といった形容詞が分布していることが確認されました。これらの言葉は、食事に関する言及である可能性が高いです。パークA内のレストランやフードサービスについて、顧客が具体的な評価をしているにもかかわらず、企業側がその点を十分にマーケティングメッセージに反映できていない可能性があります。これは、レストランやフードサービスの品質が顧客体験に大きく影響するテーマパークにおいて、改善の余地があるだけでなく、食の体験をアピールするPR戦略等の新たなマーケティング機会を示唆しているかもしれません

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