こんにちは、データレンズテクノロジーです。
前回のブログでは、私たちのマーケティング戦略支援について、自然言語処理を活用して顧客が企業をどう見ているかを深く分析する重要性をお伝えしました。具体例として、レンタルオフィスA様とB様のユーザーレビューを比較分析し、「入退室」「スタッフ」「環境」「設備」「料金」「立地」の6つの評価軸で、それぞれのレンタルオフィスの強みや顧客体験の特徴を可視化しました。
特に、A様は「入退室」に、B様は「スタッフ」に関する言及が多いことから、それぞれの運営体制が顧客体験に強く影響している可能性について考察しました。
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「運営体制」と「評価の対象」の関係性について
さて、今回は、この「運営体制」と「評価の対象」の関係性について、さらに深掘りしていきます。
前回のブログの最後で、「運営体制の違いが、顧客体験にどのように影響しているのか」という仮説をたてました。
- テクノロジー重視の運営:顧客の評価対象が「設備」や「システム」といったモノに向きやすいのか?
- スタッフ重視の運営:顧客の評価対象が「利用者」や「顧客同士の交流」、あるいは「スタッフの対応」といった人やその活動に向きやすいのか?
早速、分析結果をグラフにまとめました。
この円グラフは、レンタルオフィスAとBのユーザーレビューにおいて、「入退室」「スタッフ」「環境」「設備」「料金」「立地」、そして「他の利用者」の7つの項目がそれぞれどの程度の割合で言及されているかを示しています。
このグラフを見ることで、各レンタルオフィスがユーザーにどのような側面で強く印象付けられているか、そして運営体制が顧客体験にどの程度影響しているかを考察する手がかりになります。

スタッフ常駐店舗の顧客体験
右側のグラフを見ると、レンタルオフィスB様は、スタッフに関する言及が35%と利用者がスタッフの対応や存在そのものを高く評価していることが分かります。そして、注目すべきは、「他の利用者に対する言及が0%」という点です。これは、スタッフが利用者の困りごとを解決したり、トラブルを未然に防いだり、あるいは単に安心感を提供したりすることで、利用者間の摩擦が極めて効果的に抑制されている強力な証拠と言えます。
無人店舗の顧客体験
一方、左側のグラフ、テクノロジー重視の運営のレンタルオフィスA様は、スタッフへの言及がわずか6%にとどまるものの、「他の利用者に対するレビューが7%」存在します。また、「環境」というスタッフの方や利用者が作り出すファクターに注目すると、レンタルオフィスA様が27%、B様が14%と両者には明確に差があります。これは、スタッフの直接的な介在がないため、利用者同士の行動や存在が、良くも悪くも顧客体験に直接影響を与えていることを示唆しています。無人店舗では、利用者自身が「場の質」を左右する主要因となる傾向が見られます。
結論:スタッフは「摩擦軽減」と「体験価値向上」の要
この比較から、スタッフの存在が利用者間の摩擦を効果的に軽減していることが明確になります。スタッフは単にサービスを提供するだけでなく、「空間の秩序を保ち、安心感を醸成する」という、無人では代替できない価値を提供していると言えるでしょう。
無人店舗では、スタッフが直接介入できない分、利用者間の行動が顧客体験に与える影響がより顕著になります。そのため、スタッフがいないことを前提に、利用者同士の摩擦をいかに抑制し、質の高い顧客体験を提供するかを、サービス設計の段階から綿密に考える必要があると言えるでしょう。例えば、明確な利用ルールやマナー喚起の徹底、トラブル発生時の迅速な対応体制、あるいはゾーニングによる快適な空間設計などが、無人店舗における重要な検討事項となります。
参考情報と次回予告
「音への感度」を軸にした空間コンセプトの再構築については、以前こちらでブログに取り上げておりますので、よろしければ合わせてご確認ください。
次回は、これらの顧客側から見た特徴が企業側からも自社のアピールポイントとして活かされているのか、すなわち、ユーザーレビューで顕在化した強みが、各レンタルオフィスの公式なプロモーションや情報発信においてどのように表現されているかを深掘りしていきます。顧客が体験を通じて価値を感じている点と、企業が意図的に訴求している点が一致しているのか、あるいは異なる訴求軸があるのかを比較することで、より多角的にレンタルオフィスの運営戦略と顧客体験の関係性を考察できるでしょう。
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このレンタルオフィスレビュー分析は、私たちの「データ分析からの戦略策定」サービスの一端です。
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